便利でだいたいのものが問題なく揃う。
役所も近いし、スーパーも遅くまで開いている。
街に出るのもさほどに電車賃をかけずに行ける。
そんな気楽な都会暮らしを卒業してまで
上述のすべてがNOになる佐木島に暮らしたい。
そう思う理由を考えて見ました。
※防波堤の先は、海にぐるり囲まれる癒しスポット@佐木島
ゆったりと過ごせる
なによりの魅力は、時間の流れがゆったりとしていることです。
島で生活すると自然と、スローペースで過ごすことになります。
時刻表を気にせず駅やバス停に向かえる都市部と異なり
1時間に1本便があればラッキー。そんな世界です。
その中でせかせかしたところで、という話です。
カツカツに予定を詰めるクセを半ば強制的に諦められます。
わたしのように、多動傾向のある人間にはぴったりの「お灸」です。
とにかく静か
二つ目は、とにかく静かなことです。
打ち寄せる波の音。
吹き抜ける風が山の木々を揺らす音。
そして鳥たちのさえずりに、虫の声。
人工的なものといえば、
遠くの造船所からときどき響く金属音。
たまに通り過ぎる軽トラのエンジン音。
島は、常にザワザワしている街中とはひと味もふた味も異なります。
早朝や夜などは、音が吸い込まれている感覚すら覚える静けさです。
雑踏を歩けば知らず知らずのうちに耳に入っては気になってしまう。
そんな他人の会話もまず聞こえてきません。
そもそも雑踏が存在しませんから。
早朝ランニングで島一周10キロを走っても
ときには誰とも出会わないことすらあります。
静かに仕事をしたい。
物事に取り組みたい。
そう思っている人間には最高の環境です。
島外に出るのに、船賃がそこそこする。
島内だけで生鮮食品をそろえるのはちょっと厳しい。
その程度の不便は帳消しというものです。
どこも絶景
三つ目は、どこを向いても絶景が広がっていることです。
家の外に出れば、空、海、そしてみかんばたけの景色。
海岸沿いを歩けば、上を向いても横を向いてもぐるり青の世界。
遠くを見れば、島影と穏やかな海。
そしてときどき立派なお船が通り過ぎる。
朝晩のトワイライトタイムは、空と海とが紅色に染まる。
夜になれば満点の星空。
花壇は手入れされ、季節ならではの花たちが目を楽しませてくれる。
美しいものには、とかく事欠かないのです。
ちょっとひと息。ほっこりしたい。
そんなときには、ほんの五分ほど歩いていくだけで
穏やかな瀬戸内海を眺めることができます。
価値観はもちろん人それぞれですが
わたしは佐木島の不便をくつがえす楽しみを味わっています。