旅に出るからこそしまなみをより楽しめる

筋金入り旅好きの母に育てられ、旅がすっかり日常にインストールされているわたしです。
今ならともかくネットも発達していない30年近く前の話です。
重度の小児喘息を患っていた妹を引き連れてでも旅に出ていた母には驚くばかりです。
実際、旅先で妹が体調を崩し、夜中に数10キロ先にある救急病院を目掛け真っ暗な山道を走ったこともありました。

母は我々をいわゆる観光地からそうでないところまで国内外問わずあちこち連れて出かけました。
いろいろな世界を見せたいと本人は言っていました。
今思えば単純に自分が好きだからやっていたようにも感じますが。

母にその意識があったかどうか分かりません。
が、大好きな場所にずっといるだけより、旅に出かけるからこそ、
その場所をもっも楽しむことができるのではないかとわたしは考えています。

昨年秋に香港に愛車を持って出かけた旅での気づきを書いてみます。

 

 


※大勢でも、道が狭くても楽しく走れます@香港

人が多い、道が狭いは工夫で乗り切る

香港と聞いたときにどのような印象を持たれますか?
摩天楼だらけの狭いところに大勢が暮らすイメージが強いのではないでしょうか。
私自身もそうでした。

ですので、参加している全世界的なサイクリングクラブ、
Rapha サイクリングクラブ(以下RCC )で呼びかけるサイクリングが活発なのが不思議でした。

大勢で楽しそうにサイクリングをしているけど、そんなにのびのびと走れるのか?と。
そして実際に到着してみたら思った以上に人は多く、ビルは細長いこと、まるで割り箸をたてたかのよう。
道もバス、トラム、クルマ、そして人、人、人で埋め尽くされている状態。
あまりに目に飛び込んでくる情報が多すぎて、なんだかウォーリーをさがせ、の絵を見ているかのような錯覚に陥りそうでした。

そして、いざRCC香港のサイクリングへ。
まずびっくりしたのは、定員と開始時間。
なんと6時スタートの30人だったのです。

日本では考えられません。
ガチトレーニングでもないのに、そんなに朝早くから人が集まるのか?と。
しかし、集合場所のロータリーには、まだ薄暗い時間帯だと言うのに、続々とクラブメンバーがやってきます。
申し込みだけして実際には来ない人もいるかと思いきや、むしろ申し込みなしに来るメンバーもちらほら。
でもそれを咎める人は1人もいません。

だんだんと明るくなってくる街を眺めながら、さくっと2時間程度のサイクリングになりました。
道は確かに狭いです。とはいえ、追い越しをかけてくる車は皆余裕を持って通り過ぎるので、怖くなかったです。
なぜこんなに集合時間が早いの?と思ったのも、聞くまでもなくわかりました。
8時前ともなると通勤通学時間帯で道がとても混むからです。

時間帯を少しずらす。これが道が狭く、人が多い香港で快適にサイクリングするコツでした。
勤め人の方でも、この時間帯なら仕事前にさくっと走れてまさに一石二鳥です。

自分の面倒は自分で見る

日本との比較で言うと、自分の面倒は自分で見る意識がより強いと感じました。
上記とは別のイベントで香港島をほぼ1周するような少し長距離サイクリングに参加したときの話です。

メンバーの1人がマシントラブルで途中抜けすることになりました。
そしてその連絡は、ライドリーダーの方にメッセージアプリでのみ。
リーダーの方もはい、了解という感じで、それ以上の深追いはせず、でした。

おそらくですが、日本的な感覚ではもうちょっとあれこれリーダーが世話を焼くのが一般的でしょう。
場合によってはトラブルが起きた場所まで全員で戻るなど。

本人が判断したことに対して、それ以上の余計なフォローをしない。
これは決して冷たいわけではなく、成熟した対処と感じます。

自分の事は自分で判断する。
その前提があるからこそ、30人のグループであっても、1人のリーダーで十分に成立するのだと理解しました。

配車サービスで島から島もスイスイ移動

香港はしまなみに負けず劣らず島があちこちに点在しています。
車や地下鉄に乗るならいいけれど、自転車だとその行き来はどうするのだろう?
そう思っていたら答えは配車アプリでした。

バンタイプの大型車両をサイクリングでも普段の移動でも香港の人々はよく利用します。
どこからどこまで行きたいを登録すればアプリ上で対応してくれるドライバーが金額を提示。
到着時間目安もわかるので、金額との兼ね合いで決めて頼めばオッケー。

私が見かけたもの、つまり友人たちが手配したものは全て現金決済でそこだけは残念でした。
が、車両番号はあらかじめ知らされているのでどこに連れて行かれるんだろうといった恐怖はゼロでした。

早朝・深夜など公共交通機関が動いていない時間帯にも、自由に移動ができる強力なツールでした。
日本では未導入のようですが、街中のゴミゴミしたところは車に乗って楽々移動。
景色の綺麗な走りやすいところだけサイクリングと言うのは非常に賢いです。

単純に香港の文化を日本にそのまま持ってくる事は難しいでしょう。
ただ、道が狭いからとか人が多いから、不便だから、人数が多いからとそこで諦めてしまっては可能性を狭めてしまいます。
こんなふうに乗り切るんだと言う実例を目にできただけでも旅の価値がありました。
これからも時々はしまなみを飛び出して刺激を入れていきたいものです。

 

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